ミームの親しみやすさは強力な武器である反面、使い方を一歩誤れば激しいバッシングや炎上を招く諸刃の剣でもあります。特に注意を要するのが、「出自の文脈」に対する無知です。
ネットスラングの多くは、差別的な言説、犯罪事件、特定の個人に対する集団的なからかい、あるいは性的マイノリティを揶揄する地下スレッドから派生しています。長年の拡散を経て「単なる面白い言葉」として表層化している場合でも、元ネタの被害者や当事者から見れば極めて攻撃的なヘイト表現であるケースが少なくありません。とりわけ企業公式アカウントが「若者に受けるバズワード」として無批判に採用した結果、その出自を指摘されて謝罪と投稿削除に追い込まれる事例は後を絶ちません。
また、著作権・肖像権のクリアランスという構造的課題もあります。アニメのワンシーンや一般人の顔写真を無断使用した画像ミームは、個人のファン活動の範疇では黙認される傾向にあるものの、営利目的や商業メディアでの利用は明確な権利侵害を構成します。ネットミームを使う際は、「誰かを踏み台にしていないか」「原典は公序良俗に反していないか」という原点確認を怠らないリテラシーが不可欠です。