布地にペン先を当てた瞬間、インクが意図しない輪郭へとじわじわ広がっていく現象は、物理学的な毛細管現象によって生じます。Tシャツの多くは綿100%またはドライ素材と呼ばれるポリエステル混紡で作られています。綿は吸水性が高いため、低粘度の液体インクを急速に吸い上げます。一方でポリエステルはインクを弾きやすく、乾く前に表面を滑って別の繊維へと流れてしまいます。
一般的な油性マジックには有機溶剤が含まれており、乾燥速度は速いものの、布の繊維の間に入り込むと染料が横方向に拡散する性質を持っています。紙に書くときのような摩擦や吸収スピードとはまったく異なる挙動を示すため、いつもの筆記感覚で書くと確実に線がぼやけます。この現象を防ぐためには、顔料粒子が繊維の隙間よりも大きく、表面にとどまるタイプのペンを選ぶ必要があります。