老舗温泉旅館の事業承継は、現在の日本観光が直面する最も深刻なテーマの一つである。廃業や外資ファンドによる無機質な効率化を選ぶ宿が少なくないなか、今井荘が選んだ「国内大手食ビジネス企業による買収と全館リニューアル」という道は、地方創生における極めて前向きなモデルケースといえる。
昭和の薫りを残す波打ち際の数寄屋建築、現代の旅行者が求める快適な客室露天風呂、そして東洋食品の総合力で磨かれた金目鯛会席。過去の遺産に甘んじることなく、大胆な資本投下で生まれ変わった今井荘は、伊豆今井浜温泉の新たな黄金期を切り拓いている。