中社の境内は、本殿を取り囲む山林と河川が融合した特異な神域空間を構成しています。参拝者が真っ先に目指すべきは、社殿裏手から吊り橋を渡った先にある夢淵(ゆめぶち)です。神武天皇が大和平定の際に戦勝を占うため酒瓶を沈めたとされる伝説の地であり、エメラルドグリーンに澄み渡る深い淵は、見つめるだけで心の濁りが落ちていくような静謐さに満ちています。
境内の見どころは自然景観にとどまりません。本殿脇にそびえる樹齢千余年の「相生の杉」は夫婦円満や延命長寿の象徴とされ、多くの人々が幹に手をかざして祈りを捧げます。また、授与所で頒布されている「龍頭ひょうたん絵馬」は、自身の息をひょうたんに吹き込んで邪気を封じ込め、境内の専用納め所に奉納する独特の神事アイテムです。視覚・触覚・精神のすべてを通じて水神の息吹を体感できる設計が、現代のリピーターを惹きつけてやまない理由です。