中二病という言葉の正確な誕生日は、1999年1月11日に放送されたTBSラジオの番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』(当時は『伊集院光のUP'S 深夜の馬鹿力』)に遡ります。番組内のフリートークで、伊集院光が「まだ中二病にかかっている」「洋楽を聴き始めると邦楽を見下す」「ブラックコーヒーを無理して飲む」といった、中学校2年生前後にありがちな背伸び行動を語ったことがすべての始まりでした。
当時、伊集院が提示した視点は極めて内省的かつ自虐的なものでした。他者を冷笑するための武器ではなく、「自分も含めて誰もが通る、青臭くて恥ずかしい思春期心理」を笑いに変えるための処方箋だったのです。翌週には「かかったかな?と思ったら中二病」というレギュラーコーナーが立ち上がり、リスナーから無数の「痛い言動」の証言が寄せられました。
この深夜ラジオカルチャー発の造語は、思春期特有の肥大化した自己顕示欲と、それに見合わない無力感との板挟みになる心理状態を見事に言語化していました。しかし、番組のコーナー終了後、この言葉はラジオの枠組みを飛び出し、テキストサイトや巨大掲示板群というインターネットの荒波へと放流されることになります。