時透無一郎が放つ「かわいさ」は、単なる外見的なあざとさやデフォルメされた記号性から生じたものではありません。それは、14歳という若さで過酷な宿命を背負い、愛する家族を奪われ、自分自身さえ見失っていた少年が、血みどろの闘争の果てにようやく取り戻した「人としての温もり」そのものです。
冷厳な霞の奥に隠されていたのは、誰よりも兄を愛し、仲間のために無限の力を振り絞る純粋な魂でした。だからこそ、彼がふと見せる屈託のない笑顔やあどけない仕草に、私たちは胸を締め付けられ、魂を揺さぶられるほどの愛おしさを覚えるのです。無一郎が放つ輝きは、絶望の淵から再生した人間だけが宿す、かけがえのない生命の灯火と言えます。