2020年代中盤を迎えた今、2人のキャリアパスは完全に分岐している。福士蒼汰は徹底した肉体改造と格闘術(ジークンドー、カリ)の修練を重ね、グローバル市場へと視線を定めた。Huluオリジナル『THE HEAD』Season 2への全編英語での出演をはじめ、日本国外のクリエイターと協働する国際派アクション俳優としてのポジションを着実に構築している。かつての少女漫画のアイコンは、フィジカルと語学力を武器に世界水準のサスペンスを牽引する表現者へと変貌を遂げた。
対する中川大志は、日本の古典的演劇空間と重厚な映像作品の深奥へと潜り込んでいる。ストレートプレイやミュージカルの舞台で鍛え上げた肉体言語を武器に、人間の弱さや醜さをも内包した多面的な役柄を次々と手中に収めた。第42回日本アカデミー賞新人俳優賞の受賞を経て、いまや同世代の中でも「作品の質を保証する演技派」としての信頼を確立している。他人のドッペルゲンガーから出発した役者は、代えの利かない表現者として独自の地位を築き上げた。