作詞を担当したちあき哲也の言葉選びも、楽曲の劇的な世界観を構築する決定打となりました。「いっそ X・T・C(エクスタシー)」「迷い込んだイブ」といった挑発的かつ情熱的なフレーズは、少年から大人の男性へと脱皮しようとする3人の危うい色気を見事に引き出しています。単なるティーン向けアイドルソングの甘さを排し、ストイックな大人のドラマを描いたことが、幅広い層へ浸透する要因となりました。
さらに音楽業界を驚かせたのが、レコードの「B面3種同時リリース」という大胆な販売手法です。
- タイプA:『春風にイイネ!』
- タイプB:『ONE STEP BEYOND』
- タイプC:『日本よいとこ摩訶不思議』
それぞれ作詞・作曲陣が異なる3つの楽曲を同時に店頭へ並べ、ジャケットデザインも差別化を図りました。特に『日本よいとこ摩訶不思議』(作詞・作曲:野村義男)は、和風の音階と高速ラップのような掛け合いを取り入れた怪作であり、後年嵐をはじめとする後輩グループに歌い継がれる伝説のナンバーとなっています。当時としては規格外のプロモーション戦略は、少年隊を単なる「新人」ではなく「大型エンターテインメント集団」として決定づけました。