中洲大洋劇場の閉館が象徴するように、都市の更新は不可逆な現実です。昭和を彩った建造物は姿を消し、街はより清潔で機能的な空間へと再定義されていくでしょう。しかし、どれほど景観が変貌を遂げようとも、カウンター越しに交わされる乾杯の音や、湯気を立てるもつ鍋の匂いまでが消え去るわけではありません。
「よかろうもん」が守り続けるのは、単なる料理のレシピではなく、訪れた人を温かく迎え入れる博多歓楽街の寛容さそのものです。開発の槌音が響く中州の夜、変わる街並みと変わらぬ人情のコントラストを確かめに、今宵も多くの人々が暖簾をくぐり続けます。