日本国内における寿司文化は長らく、職人の厳格な修練に支えられたカウンター鮨か、徹底した合理化を追求する回転寿司かの二極論で語られがちだった。その固定観念に風穴を開けたのが、2016年の渋谷1号店進出に続き、2018年9月15日にグランドオープンを果たしたKINKA六本木である。先行して実施されたソフトオープンでは、告知のみで300名を超える来客を記録し、オープン当初から飲食業界関係者の熱い視線を集めた。
運営母体である株式会社KINKA FAMILY JAPAN(代表取締役社長:橋本恵介)が持ち込んだのは、北米で培われた自由闊達な寿司バーの空気感だ。カナダ現地で熱狂的な支持を集めた「Sushi Bar & Izakaya」というハイブリッド業態は、単なる和食の模倣ではない。現地のバーテンダー文化やインテリアデザインの美意識を土台に据え、日本固有の鮮魚仕込みを掛け合わせることで、かつてない多国籍なグルーヴ感を成立させている。クラシックな鮨の作法を重んじる層からは当初、懐疑的な見方も存在したが、実際に提供されるネタの鮮度と計算し尽くされた調理技術が、懐疑論を着実な支持へと変えていった。