中洲川端グルメの象徴ともいえる吉塚うなぎ屋は、創業当初、旧吉塚村(現在の福岡市東区馬出・吉塚駅周辺)に店を構えていました。昭和の高度経済成長期を経て中洲の那珂川沿いへと移転し、現在では広々としたフロアを持つ堂々たるビル店舗を構えています。創業150年を超える歳月の中で、政財界の要人から文化人、さらには地元博多っ子のハレの日の食事処として確固たる地位を築いてきました。
店頭や箸袋に配されたユニークな「タツノオトシゴ」の紋章に目を留める来店客も少なくありません。このタツノオトシゴの由来は、初代店主・新助の干支が「辰年」であったことに加え、鰻と同じく水に棲み、天に昇る龍の化身として商売繁盛と長寿を象徴する縁起物として選ばれた歴史にあります。単なる老舗の看板にとどまらず、博多の歴史と文化が凝縮された意匠が隅々に息づいています。
現在では国内外のグルメガイドやSNSを通じて世界中にその名が轟き、福岡空港に降り立った旅行者が直行するランドマークとなりました。福岡老舗うなぎの頂点と評される背景には、ブランド力だけに依存しない徹底した職人技と、細部まで研ぎ澄まされた調理工程へのこだわりが存在します。