この楽曲の誕生には、大内義昭が後年に日刊ゲンダイなどの取材で明かした、非常に緻密な制作プロセスが存在します。当初、楽曲制作の依頼を受けた大内は、藤谷美和子の声域や表現力を徹底的に分析。彼女のキーが最も美しく響く音域を割り出し、サビに向けて感情が自然と昂ぶるコード進行を練り上げました。
レコーディング現場では、本格的なボーカリストではない藤谷のありのままの感情表現を最大限に生かすため、大内自身が歌唱指導を行いながら、互いの息遣いを合わせる作業が徹底されました。大内は生前のインタビューで「藤谷さんの持つ独特の表現力、無垢な歌声の響きがあったからこそ、このメロディに魂が宿った」と述懐しています。作為的な上手さではなく、情感の揺らぎをそのままパッケージングしたボーカルトラックが完成したこと。それこそが、現在に至るまで多くの聴き手の琴線を揺さぶり続ける最大の要因です。