どれほど精巧にカラー調合を行っても、日常の些細な行動が退色速度を2倍にも3倍にも加速させる。最大の破壊要因は「洗髪時の湯温」と「アイロンによる熱変性」である。
毛髪のキューティクルは40℃を超える熱湯に晒されると過剰に膨潤し、毛皮質(コルテックス)内に留まるべき染料分子がシャワーの水流とともに一気に洗い流される。理想的な洗髪温度は37℃〜38℃のぬるま湯である。体感として「少しぬるい」と感じる温度を維持するだけで、1週間後の色素残留率は顕著に向上する。
また、ストレートアイロンやコテを160℃以上で毎日のように同一箇所へ当てる行為は、熱によって酸化染料そのものを破壊(熱分解)するだけでなく、タンパク変性を引き起こして髪を炭化させる。乾かす前の熱保護オイル塗布を徹底し、アイロンの設定温度は高くとも140℃〜150℃に抑え、熱を当てる時間を1スルーあたり2秒以内に留めるのが退色遅延の鉄則となる。