エルヴィン・スミス団長が考案した「長距離索敵陣形」は、平原において巨人の視認範囲外から煙弾を中継し、無駄な交戦を避けて生還率を飛躍的に高める革新的な運用法でした。しかし、この完璧な防衛ロジックを現場で破綻させ続けたのが奇行種です。
巨人の唯一の弱点は、脊柱と脳が接続する後頭部から背中にかけての「縦1メートル・幅10センチのうなじ」です。アンカーを撃ち込み、立体機動装置のガス噴射を利用して超硬質ブレードで正確に肉を削ぎ落とす技術が要求されます。
通常種であれば、接近時の速度や腕の振り方が一定であるため、ベテラン兵士であれば致命傷を負わせることは難しくありません。しかし奇行種の場合、突如として四つん這いで加速する、身体をひねりながら横転跳躍する、あるいはうなじを手で隠すような挙動をとります。この「予測不能な三次元機動」が兵士の目測を狂わせ、多くの精鋭が滞空中に叩き落とされ命を落としました。討伐難易度の跳ね上がり方は、通常種の比ではなかったのです。